半導体デバイスの製造に欠かせないシリコンウエハーの表面には、目に見えないほどの小さな傷や異物、わずかな変化が生じることがあります。微細な異変を確実に見つけ出す外観検査は、製品の信頼性を保つうえで非常に重要です。
しかし、シリコンウエハーは従来の光源では細かな異変を見つけにくいという課題もあります。今回はその課題を解決し、外観検査をより確かなものにするLED光源の活用について、技術的に整理して解説します。
シリコンウエハーの外観検査は、照明と撮像の設計によって検出精度が大きく左右されます。ウエハー表面は非常に高い反射性を持つため、照明の角度や光量の制御が不適切だと反射ノイズが発生し、微小な傷やパーティクルの検出を妨げる原因となりかねません。
また、ウエハー表面にはnm(ナノメートル)単位の極めて微細なパターンが形成されているので、正確に識別するには高解像度かつ高コントラストな画像が求められます。
加えて、製造工程中の熱処理などによってウエハーがわずかに反る場合も。光の反射条件や焦点位置が微妙に変化し、検査精度の低下につながることがあります。
LED光源は、特定の波長を選んで照射できるため、シリコンウエハー表面の反射や散乱を効果的に制御できるのが特徴です。例えば、傷や異物を強調する波長を選択することで、肉眼や従来光源では見逃しがちな微細欠陥も鮮明に浮かび上がります。
また、照射角度や光の広がりを細かく調整できるため、反射の強い鏡面仕上げから粗面まで幅広い表面状態に対応可能です。微小な傷やパーティクルを高いコントラストで可視化し、検査精度を向上させます。
シリコンウエハーは熱に敏感なため、光源の発熱による影響を極力抑える必要があります。LED光源は発熱が少なく、安定した照明環境を維持できるため、熱による変形や焦点ずれを防ぐことが可能です。
従来のハロゲンやキセノン光源に比べて寿命が長く、省電力で運用できるため、ランニングコスト削減と検査装置の安定稼働に貢献。結果として、長期間にわたり均一な検査条件を確保でき、品質保証の信頼性を高められます。
シリコンウエハーの外観検査では、表面の傷や異物だけでなく、内部に形成された回路パターンの状態把握も必要です。しかし、従来の可視光LED照明ではシリコン内部を透過できず、外観検査で得られる情報が限定的でした。
本事例では、近赤外LED照明(例:拡散型赤外照明 TH-200X30CIR)を用いた観察手法を実施。シリコンは近赤外光を透過する性質があるため、可視光では捉えられなかった内部の回路パターンを鮮明に可視化することに成功しています。
非破壊・非接触での検査が可能となり、製造工程の早い段階での異常検出や品質管理に大きく貢献しています。
近赤外(SWIR)帯のLED光源「UFLS-501-12IR」シリーズを提供しています。高密度にLEDチップを実装する「COB-LED」と、光を効率的に集める「非結像型の集光光学」を組み合わせているため、光ファイバーへより多くの光をムラなく均一に送り込むことが可能です。シリコンや樹脂、水分など、素材ごとに反射・吸収が異なる性質を活かした照明撮像が行えます。
1450nmは水分の吸収が強いため、ウエハー工程まわりの残留水分やパッケージ内部の含有状態をコントラスト良く映し出すことが可能です。
「MiNY®PL」は、LED光源と高感度カメラによる照明撮像で、シリコンウエハーの発光波長、フォトルミネッセンス(PL:光を照射したときに出る発光強度)、外観を同時に計測できる装置です。LED光源は波長を精密に選択でき、対象材質に合わせた照射が可能なため、可視光では見えにくい欠陥や波長ばらつきを捉えられます。
また、外観検査に加え、PL法の活用により、内部欠陥や発光特性を非破壊で評価できます。非接触・非破壊で全面を一括計測できるため、外観検査だけでは見逃されがちな内部の割れや、発光異常も短時間で検出可能です。製造初期段階での不良抽出により、後工程のロス削減や品質安定に貢献します。
「ルミナーエース LA-HDF108/158」シリーズは、高輝度4チップパワーLEDと独自レンズを採用した光源装置です。100W~150Wハロゲンランプ相当の明るさを、省電力かつ長寿命で実現します。LED光源は立ち上がりが早く発熱も少ないため、熱に敏感なシリコンウエハーの外観検査にも適しています。
色温度6500Kの白色光が微細な傷や異物を際立たせ、照明撮像の安定性を確保。連続調光や外部制御にも対応し、検査条件に合わせた光量調整が可能です。
ここまで、対象物ごとの外観検査における課題や、LED光源を活用するメリットを解説してきました。
ただし、実際にLED光源装置を選ぶ際は、対象物の材質だけでなく、検出したい欠陥の種類、必要な精度、検査工程の自動化レベルによって適したメーカーが異なります。
そのため、次は「どの対象物を検査するか」だけでなく、「どのような不良を、どの精度で見つけたいか」からLED光源装置を比較することが重要です。
以下では、検査目的別におすすめのLED光源装置メーカーを紹介しています。
検査工程では、用途に応じて必要な明るさで対象を照らすことが求められます。
しかし目的によって必要な光の条件が異なり、装置の選定に迷うケースも少なくありません。
こうした現場での課題に応えるため、検査目的別に適したLED光源装置をおすすめ3選を紹介します。