外観検査は、製品や部品の品質を確保するために不可欠な工程です。特に目視検査や画像処理検査において、光の当て方や種類は、検査の精度と効率を大きく左右します。本記事では、外観検査に使用される照明の種類と、その選び方のポイントについて分かりやすく解説します。
外観検査では、検査対象の特性や検出したい欠陥の種類に応じて、様々な光源を使い分けます。ここでは、主な光源の種類と、現在LEDが主流となっている背景についてご紹介します。
LED光源は、現代の画像処理システムにおいて広く採用されている光源です。点灯・消灯の応答速度が非常に速く、瞬時の発光や高速な撮像にも対応します。
光源自体を小さく製作できるため、照明の小型化や多様な形状設計が可能。限られた検査スペースにも対応できる利点があります。
LEDは白熱灯やハロゲンランプに比べて発熱が少なく、熱に敏感なワークへの影響を抑えやすいのが特徴。ただし、高出力モデルではLED素子自体が発熱するため、ヒートシンクやファンなどの放熱設計が不可欠です。
かつて、外観検査の現場では蛍光灯やハロゲンランプ、メタルハライドランプといった光源が使用されていました。
蛍光灯とは、電気を使って明るい光を出す照明の一種です。一方、ハロゲンランプは、フィラメントに電流を流して発熱させることで光を放出し、白色に近い光と安定した明るさを生み出します。
また、蛍光灯は放電現象を利用した光源、ハロゲンランプは白熱電球の一種で高演色、メタルハライドランプは金属蒸気中のアーク放電を利用した高輝度な光源です。
これらの光源はLEDに比べて寿命が短く、消費電力も多い傾向にあります。発光色や形状の選択肢が限られることから、現在の外観検査ではLED光源の使用頻度が高くなっています。
可視光よりも波長の長い赤外線(IR)や波長の短い紫外線(UV)は、特定の検査目的のために使用されます。赤外線照明は、パッケージ内部の内容物や異物の検査、樹脂製品の内部検査、水分の可視化などに用いられます。
一方、紫外線光源は、微細な欠陥検査や蛍光観察に有効です。肉眼や可視光では確認が難しい傷や汚れを可視化できます。
自動車分野では、塗膜や板金の表面傷は可視光や反射観察で確認することが多く、紫外線や赤外光は特殊な非破壊検査や補助的な検査手段として用いられるケースに限られます。
LED光源は、発光する波長の長さや色によって、様々な検査用途に適応します。ここでは、可視光、近赤外線、紫外線の特性や活用シーンなどを詳しく解説します。
赤・緑・青の光の三原色を発光させることができ、幅広い色味や白色光を生成します。大きな利点は、検査対象の色や検出したい欠陥の種類に合わせて光の色を選択できる点です。
例えば、白黒カメラで色のついた異物を検出したい場合、その異物が吸収する波長の色の光を照射することで、背景とのコントラストを高められます。肉眼では見えにくい傷や変色、異物を強調して表示できるため、検査担当者の目視負担を減らし、自動検査での認識精度の向上に役立ちます。
人間の目には見えない光を発する光源です。ポリエチレンやポリプロピレンなどのプラスチック、紙(セルロース)、一部のインクや有機物など、可視光では不透明に見える素材を透過する特性を持っています。
製品パッケージ内部の異物検出や液体の有無、水分量の計測などに有効です。材料の内部構造観察や、透明なプラスチック内の異物検出にも適しています。
人間の目には見えない短波長の光(主に365nm、385nm、405nmなど)を照射する光源です。特定の物質に反応して蛍光を発するだけでなく、微細な欠陥を鮮明に可視化できる特性があります。
接着剤の硬化確認をはじめ、特定のコーティングやインクの有無の検出、基板上の微細な割れや異物検査に活用可能。自動車の板金における傷や歪みのチェックにも使われています。
外観検査の画像処理において、LED照明の「照射方式」は、カメラ性能以上に重要な要素です。照明の役割は、ワークの材質や形状に合わせ、抽出したい特徴のコントラストを最大化することにあります。
鏡面体の微細な傷を捉える「同軸落射」、曲面のテカリを抑える「ドーム」、外形を正確に測る「透過」、わずかな段差を浮き彫りにする「ローアングル」など、目的に応じて使い分ける必要があります。ワークの特性を見極め、条件に合致したライティングを選択することが、検査精度を安定させ、自動化を確実に成功させるための鍵となります。
外観検査の精度は、カメラ性能以上に照明選定で決まります。ここでは対象物の材質や目的に合わせたLED照明の選び方を解説。金属・鏡面体には反射を制御する同軸落射やドーム照明、プラスチックには形状を際立たせるローアングル照明が有効です。透明体には暗視野を利用したエッジライト、印字判定には補色を活用してコントラストを最大化します。
ライティングの理論は基礎であり、実際の現場ではワークの個体差や環境が影響するため、実機テストによる微調整が不可欠です。現場での試行錯誤こそが、高精度な検査を実現する近道となります。
外観検査において、照明の「形状」は検査画像の品質に直接影響します。照明の構造や照射パターンが異なると、ワークから得られる情報も大きく変わるため、適切な照明形状を選ぶことが重要です。
リング照明は、照射角度によって主に2種類に分けられます。トップアングル(通常のリング照明)は均一照射に有効で、ローアングル照明は傷や凹凸の強調が得意です。
トップアングルは、一般的にカメラレンズを囲むよう設置されているため、検査対象の中心部へ向かって均一な光を照射できます。電子基板上の部品撮像などによく用いられるのが特徴です。
一方、ローアングル照明は、傷やホコリ、凹凸を効果的に強調して浮かび上がらせることが可能です。均一な光の中での異物や汚れの検出に適しています。
LEDが直線状に配置された棒状の照明です。設置の自由度が高い形状で様々な角度から光を照射できます。特に、長尺のワークや、傷、異物、凹凸といった特徴を持つ検査に有効です。
バー照明をワークの側面に配置し、斜めから光を当てることで、表面の微細な凹凸や傷を影として捉えます。
また、複数のバー照明を4方向から配置することで、ワーク全体を均一に照らすことも可能。印字検査や位置決めに幅広く活用できます。微細な凹凸や浅い傷の強調に適している照明です。
LEDからの光を特定の狭い範囲へ集中的に照射するタイプの照明です。集光された光は非常に明るく、微細な欠陥や狭い空間、深部の検査に威力を発揮します。
穴の奥深くにある傷をはじめ、剥がれや砂残り、筒状の金属製品の内部検査などに有効です。ほかにも、基板のはんだ不良や部品の印字確認など、ピンポイントで強い光が必要な場面で活用されます。ひっかき傷のような方向性のある傷を検知する際に適した照明です。
一方、ファイバー照明は、光ファイバーを通して光を伝送する方式です。光源本体から離れた場所や、複雑な形状のワークへ光を届けるのに適しています。穴の内部や局所的な傷の検出に効果を発揮する照明です。
外観検査では、照明の波長や発光特性によって欠陥の見え方が大きく変わります。高輝度・長寿命のLED光源は、可視光・近赤外・紫外といった多様な波長に対応し、目的に応じた照明環境を構築可能。素材や欠陥の特性に合わせて光を選定することで、画像処理・目視検査のいずれにおいても、安定した検出結果を得られます。
このサイトでは外観検査の目的別におすすめ装置をご紹介。各装置の特徴や導入事例をまとめていますので、検査工程に適した光源を見つけるための参考にしてください。
検査工程では、用途に応じて必要な明るさで対象を照らすことが求められます。
しかし目的によって必要な光の条件が異なり、装置の選定に迷うケースも少なくありません。
こうした現場での課題に応えるため、検査目的別に適したLED光源装置をおすすめ3選を紹介します。