スマートフォンや自動車、家電製品など、身の回りの多くの電子機器は「半導体」が支えています。機器を安定して作動させるには、半導体の品質が重要です。こちらでは、半導体製造における外観検査の役割や検査方法、実際の活用例について解説します。
半導体は、ウェハと呼ばれるシリコン基板に微細で複雑な回路パターンを積層して作られます。緻密なプロセスの中で発生するごくわずかな傷や異物、パターンのズレが、最終製品の性能に大きな影響を及ぼす可能性があります。そのため、各工程での外観検査や非破壊検査が欠かせません。
ウェハ表面の傷や異物を確認する外観検査では、高倍率カメラや専用照明で微細な欠陥を可視化するほか、回路パターンの位置ズレや寸法異常を確認するアライメント検査、パッケージ工程では封止後のひび割れや外装の欠けをチェックします。
近年は紫外線・赤外線を用いた透過検査や蛍光検査で、内部の異物や封止不良も非破壊で確認できるようになっています。
半導体の外観検査には、検出対象や目的に応じていくつかの種類に分類されます。
まず「表面欠陥検査」で、半導体の基板となるウェハ表面の状態を詳しく確認。この検査は、回路パターンがまだない「ミラーウェハ」に対して行われる場合と、すでに回路パターンが転写された「パターン付きウェハ」に対して行われる場合があります。
ミラーウェハでは、ウェハを回転させながらレーザー光を照射し、異物や傷、結晶の異常があれば光の散乱として現れる原理を利用して検出します。
一方、パターン付きウェハでは、同一の回路パターンが複数のチップ(ダイ)に規則的に配置されているという特性を利用。隣り合うチップの画像を比較し、わずかな差を検出することで欠陥を見つけます。
半導体チップが封止された後、外装の品質を確認する検査です。主な検査項目として、パッケージ表面の傷や反りをはじめ、リード端子の曲がりや変色、打痕やひび割れなどが挙げられます。
パッケージに印字された製品名やロット番号などが正しく、鮮明に印字されているかを細かくチェックする検査です。
半導体ウエハーの検査では、裏面側にカメラや光学系を設置できない場合があります。そのため、透過光を利用して表面側から裏面の状態を確認することが求められます。
従来の照明では940nmまでの波長しか利用できず、ウエハーを透過させることができませんでした。その結果、表面の状態しか観察できず、裏面のパターン確認には限界がありました。
ユーテクノロジーのハイパワー近赤外LED光源シリーズでは、1,000nm以上の波長を用いることで、ウエハーの透過観察が可能に。表面側からでも裏面パターンを鮮明に捉えることができるようになりました。
さらに、ハイパワー光源を採用することでシャッター速度を従来比3倍以上(自社製品)に高速化。タクトタイムの短縮が求められる検査工程にも十分対応できる性能を実現しています。
従来のLED可視光照明による撮像では、ウエハー表面に付着した異物と基材とのコントラストが低く、判別が困難でした。
シリコンが特定の波長の近赤外線を透過する特性を利用するため、波長1,200nmの赤外照明(LDL-222X42CIR)を採用。その結果、可視光では困難だった内部パターンの状態を外観検査のプロセスで可視化し、表面観察と合わせて欠陥を高精度に検出できるようになりました。
半導体製品の外観検査は、大きく分けて計測を行う装置、適切な計測を行うための補助設備、そして計測されたデータを処理するソフトウェアから構成されています。これらの要素が連携することで、微細な欠陥を正確に検出できます。
外観検査で微細な欠陥を見つけるには、適切な光で対象物を照らし「見える化」することが不可欠です。
半導体の外観検査では、ウェハ表面の微細な傷、汚れ、異物などを浮き上がらせて検出するために、光の波長や照射角度を工夫し、傷や異物のコントラストを高めることが重要。使用される光源には、ハロゲン照明やLED照明などがあり、検査対象の材質や検出したい欠陥の種類に合わせた選定が求められます。
特に微細な欠陥を検出する際には、強い光を狭い角度から照射できる「高出力・低角度のライン照明」が効果的です。表面の微小な凹凸による影や反射を強調し、わずかな異常も捉えやすくなります。
LED光源装置は、画像処理・自動検査・目視検査など、用途によって求められる性能が異なります。このサイトでは外観検査の目的別におすすめ装置をご紹介。自社に合う光源選びの参考にしてください。
欠陥を正確に捉えるには、撮像装置の選定も欠かせません。高解像度のカメラと適切なレンズを組み合わせることで、微細な傷や異物を鮮明に撮影できます。主に、ラインセンサーやエリアセンサーを用いた産業用カメラが使用されます。
撮像装置によって得られた画像データは、画像処理システムによって分析されます。このシステムは、検査対象物の良否を自動的に判断するための「目」であり、「脳」の役割を果たします。
画像処理を行う際は、「良品」のパターンや状態をシステムにあらかじめ登録。検査対象の画像と登録済の良品画像を比較し、その差分を検出することで欠陥を見つけます。
半導体外観検査では、検出したい欠陥の種類によって適したLED光源装置が変わります。ウェハー表面の微細なキズ、異物、汚れ、欠け、パターン不良などは、それぞれ画像上で現れ方が異なるためです。
たとえば、表面の微小な凹凸や粒子を検出したい場合は、欠陥部の散乱光を捉えやすい暗視野照明や低角度照明が候補になります。一方、パターンや形状を均一に確認したい場合は、明視野照明や同軸照明が適するケースもあります。半導体外観検査では、キズ・異物・汚れ・パターン不良など、検出したい欠陥に合わせて照明方式を選ぶことが重要です。
ウェハー表面の微細なキズや異物は、通常の正面照明では背景に埋もれ、十分なコントラストが出にくい場合があります。特に表面の凹凸が小さい欠陥は、光の当て方によって見え方が大きく変わります。
低角度から光を当てるライン照明や暗視野照明を用いると、正常な平面部分からの反射を抑えながら、キズや異物による散乱光を強調しやすくなります。微細な表面欠陥を見逃さないためには、明るさだけでなく、欠陥の輪郭や散乱光を拾える照射角度を選ぶことが大切です。
シリコンウェハーの裏面パターンや内部状態を確認したい場合、可視光では十分に透過せず、表面側からの観察に限界が出ることがあります。そのため、シリコンを透過しやすい近赤外線やSWIR領域の波長を使った検査が候補になります。
ページ内の事例でも、1,000nm以上の波長や1,200nmの赤外照明を用いることで、可視光では難しかったウェハー透過観察や裏面パターンの可視化につながることが紹介されています。ウェハー透過検査では、シリコンの厚みや検査対象に合わせて、透過性とコントラストが両立する波長を選定することが重要です。
半導体製品では、パターンのズレや寸法のわずかな違いが不良につながることがあります。こうした検査では、照明ムラがあると、画像処理で得られる輪郭や濃淡差にばらつきが生じ、誤判定の原因になります。
検査範囲全体を均一に照射できるLED光源装置を選ぶことで、画像処理のしきい値を安定させやすくなります。また、長時間のインライン検査では、光量が時間とともに変動しにくい設計であることも重要です。微細パターンや位置ズレを安定して検出するには、高輝度であることに加え、照射ムラの少ない均一な光源を選ぶ必要があります。
半導体製造の検査工程では、タクトタイム短縮が求められる場面も多くあります。高速で撮像するにはカメラの露光時間を短くする必要があり、その分、十分な光量を確保できるLED光源装置が必要です。
また、カメラや画像処理装置と同期して発光できるか、必要な瞬間だけ強く発光できるかも確認したいポイントです。高速インライン検査では、出力の高さだけでなく、シャッター速度や搬送タイミングに合わせた発光制御に対応できるかが重要です。
LED光源装置の波長や照明方式が適切でも、カメラやレンズがその条件に合っていなければ、欠陥を鮮明に捉えることはできません。特に近赤外・SWIR領域を使う場合は、対応するカメラやレンズ、フィルタの選定も必要です。
また、検出したい欠陥のサイズに対して、十分な解像度があるかも確認する必要があります。半導体外観検査では、LED光源装置・カメラ・レンズ・フィルタを一体で検証し、欠陥の見え方と画像処理の判定しやすさを確認することが大切です。
半導体検査装置では、カメラ、レンズ、搬送機構、ステージなどが高密度に配置されていることが多く、LED光源装置を設置できるスペースが限られる場合があります。照明方式が適していても、装置内に収まらなければ実運用が難しくなります。
また、高出力のLED光源装置を連続運用する場合は、放熱設計も重要です。熱によって光量が変動すると、画像処理の判定条件が安定しにくくなるためです。半導体外観検査では、照明性能だけでなく、装置への組み込みやすさ、冷却性能、長時間運用時の安定性も含めて選定しましょう。
半導体外観検査に適したLED光源装置は、検出したい欠陥、ウェハーやチップの材質、検査工程、必要な波長、撮像速度、既存装置の構成によって変わります。カタログ上の明るさだけで判断するのではなく、実際のワークを用いて、照明方式・波長・照射角度・均一性・カメラとの組み合わせを確認しながら選定することが重要です。
「ウェハー表面の微細なキズや異物が見えにくい」「裏面パターンや内部状態を確認したい」「検査対象に合う波長や照射角度がわからない」など、半導体外観検査では、ワークの材質や検出したい欠陥によってLED光源装置に求められる性能が大きく変わります。
だからこそ、検査目的に合ったLED光源装置を選ぶことが、微細欠陥の見逃しや誤判定を防ぐ第一歩です。自社の半導体検査や画像処理システムに合うLED光源装置選びにお役立てください。
検査工程では、用途に応じて必要な明るさで対象を照らすことが求められます。
しかし目的によって必要な光の条件が異なり、装置の選定に迷うケースも少なくありません。
こうした現場での課題に応えるため、検査目的別に適したLED光源装置をおすすめ3選を紹介します。