多層フィルムにおける異物混入検査

目次

食品や医療機器・医療用品の包装などに欠かせない多層フィルムの品質を守る上で、異物混入検査は重要です。本記事では、多層フィルム特有の検査が難しい理由や、その課題を解決するためのLED光源装置の重要性、具体的な検出事例について解説します。

多層フィルムにおける異物混入検査とは

主な検査対象とよくある欠陥

多層フィルムの主な検査対象は、食品用包装フィルム、医療用輸液バッグ、日用品の詰め替えパウチなど多岐にわたります。これらの製造・加工工程において検出が求められる欠陥には、虫、毛髪、樹脂の焦げといった不透明な異物と、樹脂の未溶融物などの透明な異物があります。

また、表面の微細な傷やピンホールの有無も重要な検査項目となります。

なぜ多層フィルムの検査は難しいのか?

多層フィルムの異物検査が難しい理由は、光の反射と素材の重なりにあります。フィルム表面は光沢があるため、一般的な照明を当てると鏡のように光が乱反射(ハレーション)し、カメラの画像が白飛びしてしまいます。

さらに、複数の層が重なっているため内部で光が散乱しやすく、同系色の異物や半透明なゲルなどは背景と同化してしまい、目視や従来の検査手法では見落としのリスクが高まります。

多層フィルムの異物を可視化するLED光源の照射手法

不透明な異物を捉える透過照明(バックライト)

多層フィルムの内部に混入した炭化物や虫、金属片など、光を遮断する性質を持つ「不透明な異物」の検出には、フィルムの裏側から光を当てる透過照明(バックライト)が効果的です。均一に発光する面照明の上にフィルムを通すことで、光を遮る異物部分だけが黒い影(シルエット)としてくっきりと浮かび上がり、画像処理システムによる自動判定が容易になります。

透明異物や表面の傷を浮き上がらせる斜光・ローアングル照明

フィッシュアイや微細な擦り傷など、透明でありながら表面にわずかな凹凸を伴う欠陥の検出には、斜め方向から光を当てる斜光・ローアングル照明が適しています。

カメラに直接光が入らない浅い角度からLED光を照射することで、平滑な正常部分は暗く映り、凹凸のある欠陥部分だけが光を乱反射して白く輝きます。これにより、透明な異物でもコントラストを高く抽出可能です。

材質や厚みに適した波長の選定

多層フィルムの検査では、照射の角度だけでなく光の波長の選定も重要です。例えば、厚みのあるフィルムや、表面に絵柄が印刷されたパッケージの内部を検査する場合、透過性の高い赤外線(IR)や短波赤外(SWIR)を用いることで、表面の印刷や層を透かして内部の異物だけを明確に捉えることが可能になります。検査対象の材質や厚みによって適切な波長は異なります。

誤判定を防ぐ高輝度と均一性

高速で移動する製造ラインでのインライン検査や、ロール状の広幅フィルムを検査する場合、LED光源の明るさ(高輝度)と照射の均一性が検査精度を左右します。ライン速度に追従するためにはシャッタースピードを速くする必要があり、十分な光量が必要です。また、照明の中央と端で明るさにムラがあると、画像処理で誤判定を引き起こす原因となるため、全幅にわたって均一な照射が求められます。

多層フィルム検査に適したLED光源装置の選び方

検出したい異物の種類に合わせて照明方式を選ぶ

多層フィルム検査では、検出したい異物の種類によって適したLED光源装置が異なります。虫や毛髪、炭化物、金属片などの不透明な異物を検出する場合は、フィルムの裏側から光を当てる透過照明が有効です。異物が光を遮ることで、黒い影として浮かび上がりやすくなります。

一方で、透明異物や樹脂の未溶融物などは背景と同化しやすく、通常の照明では判別が難しい場合があります。検査したい異物の色・透明度・大きさに応じて、照明方式を選定することが重要です。

透明異物や微細な傷は斜光・ローアングル照明で可視化する

透明異物やフィルム表面の微細な傷は、正面から光を当ててもコントラストが出にくい傾向があります。そのため、斜め方向から光を照射する斜光照明や、浅い角度で照射するローアングル照明を検討します。

フィルム表面にわずかな凹凸がある場合、斜めから光を当てることで欠陥部分だけが反射し、画像上で白く浮かび上がることがあります。透明異物や傷の検査では、欠陥そのものを照らすのではなく、凹凸や屈折の違いを強調できる光の当て方が求められます。

フィルムの材質や厚みに合わせて波長を選定する

多層フィルムは、材質や厚み、層構成によって光の透過しやすさが変わります。そのため、LED光源装置を選ぶ際は、白色光だけでなく、赤色光や赤外線、短波赤外などの波長も含めて検討する必要があります。

たとえば、厚みのあるフィルムや内部の異物を確認したい場合には、透過性の高い波長が有効なケースがあります。ただし、最適な波長はフィルムの材質や検査対象によって異なるため、実際のワークを用いて、どの波長で最もコントラストが出るかを確認することが大切です。

印刷柄がある場合は透過性の高い光源を検討する

印刷済みフィルムや柄付きフィルムを検査する場合、表面の印刷柄がノイズとなり、異物や欠陥を判別しにくくなることがあります。特に可視光では、印刷の色や模様が画像処理の妨げになる場合があります。

このような場合は、印刷柄の影響を受けにくい波長の光源を選ぶことで、フィルム内部の異物を捉えやすくなる可能性があります。印刷の有無やインクの種類によって適した光源は変わるため、印刷済みの実サンプルで検証することが重要です。

ライン速度や検査幅に合わせて光量と均一性を確認する

製造ライン上で多層フィルムを検査する場合は、ライン速度や検査幅に対応できるLED光源装置を選ぶ必要があります。高速で流れるフィルムを撮像するには、シャッタースピードを速くする必要があり、その分十分な光量が求められます。

また、広幅フィルムを検査する場合、照明の中央と端で明るさにムラがあると、誤判定や見逃しにつながるおそれがあります。安定した検査精度を確保するには、検査幅全体に均一に照射できる高輝度なLED光源装置を選ぶことが重要です。

多層フィルム検査に適したLED光源装置は、異物の種類、フィルムの材質、厚み、印刷の有無、ライン速度などによって変わります。カタログスペックだけで判断するのではなく、実際のワークを用いて照射角度や波長、光量、均一性を確認しながら選定することが、検査精度の向上につながります。

CHECK
多層フィルム検査に
適したLED光源装置を選ぶには?

「不透明な異物は見えるのに透明異物が検出できない」「印刷柄がノイズになって誤判定が起きる」「ライン速度を上げると画像が暗くなる」など、多層フィルム検査では検査条件によってLED光源装置に求められる性能が大きく変わります。

だからこそ、検査目的に合ったLED光源装置を選ぶことが、見逃しや誤判定を防ぐ第一歩です。外観検査の目的別に適した装置を確認し、自社の検査条件に合うLED光源装置選びにお役立てください。

まとめ

多層フィルムの異物混入検査を成功させるためには、欠陥の種類やフィルムの材質に合わせて適切なLED光源を選定することが重要です。しかし、実際のフィルムの重なり具合や透過率によって光の当たり方は大きく変わるため、導入前には実際のワーク(サンプル)を用いたテスト検証が不可欠となります。精度の高い検査環境を構築するために、まずは専門メーカーへテスト検証をご相談ください。

THREE SELECTIONS
【検査目的別】
外観検査に適した
LED光源装置3選

検査工程では、用途に応じて必要な明るさで対象を照らすことが求められます。
しかし目的によって必要な光の条件が異なり、装置の選定に迷うケースも少なくありません。
こうした現場での課題に応えるため、検査目的別に適したLED光源装置をおすすめ3選を紹介します。

μm精度の画像処理向け
寸法や位置ズレ
正確に測ることができる
ユーテクノロジー
製品画像
画像引用元:ユーテクノロジー公式HP(https://www.u-technology.jp/product/2531)
導入しやすい業界例
  • 半導体業界
  • 電子部品業界など
要件を満たせる検査例
  • 寸法検査
  • 位置ずれ検出
  • 貼り合わせ精度検査
  • パターンずれ検出
  • 形状検査
ユーテクノロジーが
選ばれる理由
  • 特許取得※1の非結像光学系により、1,000nm以上のSWIR領域でも鮮明に映し出す
  • 自社製造の光源とファイバーにより、適切な組み合わせで光ロスやムラを抑制して微細欠陥を可視化
  • 半導体のPINアサイン確認や基板実装後の部品検査など、高精度検査の導入実績あり※2
0.1〜1mmの自動検査向け
欠けや異物
安定的に検出できる
アイテックシステム
製品画像
画像引用元:アイテックシステム公式HP(https://aitecsystem.co.jp/series/llbk/)
導入しやすい業界例
  • 自動車部品業界
  • 食品・飲料業界など
要件を満たせる検査例
  • 異物混入検査
  • 欠け検出
  • バリ検出
  • 色ムラ検査
アイテックシステムが
選ばれる理由
  • 230,000lxの高照度でコントラストが明瞭になり、微細な不良を見逃しにくい
  • LANや端子台で照明制御が可能で、カメラやPLCとも連携しやすく自動検査の構築がスムーズ
  • 冷却と定電流制御で照度が安定し、常時点灯や連続稼働が前提でも判定ブレが起きにくい
手作業の目視検査向け
印字や組付け不良
はっきり確認できる
中央精機
製品画像
画像引用元:中央精機公式HP(https://www.chuo.co.jp/contents/hp0251/list.php?CNo=251&ProCon=4955)
導入しやすい業界例
  • 化粧品・日用品業界
  • 電気機械器具業界など
要件を満たせる検査例
  • ラベル位置検査
  • 印字抜け検査
  • 印字不良検査
  • ネジの有無検査
  • 組付けミス
  • 方向ずれ検査
中央精機が
選ばれる理由
  • 約45,000lxの自然な明るさで、ラベル印字の擦れやかすれをはっきり確認
  • ダイヤルで直感的に調光でき、作業者や環境に合わせた見え方調整ができる
  • 筐体幅80mm未満・高さ144mmのコンパクト設計で、狭い作業空間にも設置しやすい
※1 特許7060932 参照元:J-PlatPat(特許情報プラットフォーム)公式HP(https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7060932/15/ja
※2 参照元:ユーテクノロジー公式HP(https://www.u-technology.jp/case
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