近赤外光は、可視光よりも波長が長い赤外領域のうち、比較的可視光に近い波長帯を指します。外観検査では、850nmや940nmなどのLED光源がよく使われ、モノクロカメラや近赤外対応カメラと組み合わせます。
人の目では見えにくい光を使うため、表面の色や印刷の影響を抑えながら撮像しやすい点が特徴です。可視光では判別しにくい内部・裏面・材質差の確認に利用されます。
可視光照明は、人が見る色や明暗に近い画像を得やすい一方、ワークの色、柄、印刷、表面反射の影響を受けやすい場合があります。近赤外LED光源では、これらの影響が弱まり、別のコントラストが得られることがあります。
たとえば、色柄がある包装材や樹脂部品では、可視光で目立つ模様が近赤外では目立ちにくくなることがあります。検査したい欠陥以外の情報を減らせる点が、近赤外照明を使う理由の一つです。
近赤外LED光源では、850nmと940nmが代表的な波長です。850nmはカメラ感度を得やすい場合が多く、比較的扱いやすい波長として検証の初期候補になりやすいです。
940nmは850nmとは対象物の見え方が異なるため、反射や色柄の影響をさらに抑えたい場合に比較されます。どちらが適するかは対象物次第であり、波長ごとの撮像結果を比較して選ぶことが基本です。
近赤外光は、紙、布、樹脂、包装材などの一部対象物を可視光より透過しやすい場合があります。そのため、表面だけでなく、薄い材料の裏側や内部の状態を確認したい検査で活用されます。
ただし、透過性は材質や厚みに左右されます。検査対象を実際に照らして、欠陥が十分なコントラストで現れるかを確認することが重要です。
食品包装や印刷物、樹脂製品などでは、見た目の色柄が画像処理の妨げになることがあります。近赤外LED光源を使うと、可視光で強く出る色差が弱まり、形状や異物に注目しやすくなる場合があります。
これは、色を見たい検査ではなく、色柄をできるだけ無視したい検査で有効です。背景情報を抑えて判定対象を浮かび上がらせる設計がしやすくなります。
近赤外LED光源は、樹脂部品、フィルム、紙、包装材などの検査で候補になります。表面の反射や印刷に左右されにくい条件を作れるため、異物、欠け、噛み込み、裏面傷などの検出に使われます。
照明形状は、透過照明、同軸照明、リング照明、バー照明などから選びます。波長と照射方向をセットで最適化することで、画像処理しやすい画像を得やすくなります。
樹脂成型品では、可視光では表面の色や質感に影響され、裏面側のキズを確認しにくい場合があります。ユーテクノロジーの事例では、近赤外光を用いることで樹脂を透過し、裏面にあるキズを画像上で確認しています。
近赤外LED光源は、ワークを破壊せずに内部や裏面の状態を見たい検査に向いています。樹脂の材質や厚みによって透過性は変わるため、実際のワークで波長と照射条件を比較することが重要です。
近赤外LED光源を選ぶ際は、まず検出したい欠陥を明確にします。異物、傷、欠け、内容物、印字、裏面状態など、目的によって適した波長や照射方法は変わります。
850nmと940nmは近い用途で比較されますが、画像の明るさやコントラストは同じではありません。欠陥と正常品の差が最も安定する条件を実機テストで確認しましょう。
近赤外検査では、光が対象物を透過するのか、表面で反射するのか、特定部分で吸収されるのかを確認します。同じ波長でも、照明の置き方によって得られる画像は大きく変わります。
透過検査では背面照明、表面状態の確認では斜光や同軸照明などが候補になります。欠陥が明るく出るのか暗く出るのかを含めて、判定しやすい構成を選びます。
近赤外光は可視光より透過しやすい場合がありますが、厚みがある材料や吸収の強い材料では光量が不足することがあります。必要な出力は、対象物の厚み、搬送速度、カメラ露光時間によって変わります。
過度に明るい照明は白飛びや発熱につながるため、単に高出力を選べばよいわけではありません。必要な明るさを安定して供給できるかを基準に選定します。
外観検査では、照明の明るさが変動すると、同じワークでも画像濃度が変わり、判定ブレの原因になります。近赤外LED光源を選ぶ際は、調光方式、照度安定性、連続点灯時の変化を確認しましょう。
ライン停止や長時間運転がある設備では、温度変化による光量低下も考慮します。検査条件を長時間再現できる照明を選ぶことが、安定運用につながります。
近赤外領域を利用した画像処理用LED照明です。可視光では見えにくい裏面キズや内部状態を確認したい場合に、ワークの透過性に合わせて照明条件を検討できます。
シリコンウエハ、PCB、パッケージなどの透過検査向けに紹介されている高出力近赤外LED光源です。光量フィードバック機能により、長時間の検査でも光出力の安定性を確保しやすい点が特徴です。
シーシーエスのIRシリーズは、近赤外領域を使った撮像に対応する照明シリーズです。水分含有、透過による内部検査、色味では捉えにくい差の可視化など、検査目的に合わせた照明選定に活用できます。
壷坂電機は、近赤外LED光源に関する技術情報を発信しています。近赤外カメラや光学系の評価、波長ごとの見え方の比較など、検査条件の基礎検証に活用しやすい情報源です。
検査工程では、用途に応じて必要な明るさで対象を照らすことが求められます。
しかし目的によって必要な光の条件が異なり、装置の選定に迷うケースも少なくありません。
こうした現場での課題に応えるため、検査目的別に適したLED光源装置をおすすめ3選を紹介します。