SWIRはShort Wave Infraredの略で、日本語では短波赤外と呼ばれる波長帯です。一般的には可視光より長く、近赤外よりさらに長い赤外領域を指し、産業用カメラではInGaAsセンサーなどと組み合わせて使われます。
外観検査では、肉眼や可視光カメラでは確認しにくい内部・裏面・材質差を見たい場面で検討されます。特にシリコン、樹脂、フィルムなど、波長によって透過や吸収の出方が変わる対象では、可視光とは異なる画像情報を取得できる点が特徴です。
近赤外LED光源は850nmや940nmなどの波長がよく使われます。一方、SWIR LED光源はそれより長い波長を扱うため、対象物によっては近赤外よりも透過性や吸収差が大きく出る場合があります。
ただし、SWIRは専用カメラや対応レンズが必要になることが多く、可視光・近赤外よりシステム構成の確認項目が増えます。導入時は、見たい欠陥がどの波長で最もコントラストを得られるかを実機で検証することが重要です。
物質は波長によって光の透過・反射・吸収の性質が変わります。可視光では表面の色や模様に埋もれる欠陥でも、SWIRでは背景の影響が弱まり、内部構造や材質差が現れやすくなることがあります。
たとえば、シリコンはSWIR領域で透過しやすくなるため、半導体関連の透過観察で活用されます。樹脂や包装材でも、可視光では見えにくい裏面の傷や異物を、波長選定によって見やすくできる可能性があります。
SWIR LED光源の大きなメリットは、対象物によって透過検査に使いやすいことです。シリコンウェハーや樹脂部品など、可視光では表面しか見えにくい対象でも、SWIRを使うことで内部や裏面の状態を確認しやすくなります。
ただし、透過のしやすさは材質、厚み、添加剤、表面処理によって変わります。導入前には、候補波長を複数比較し、検出したい欠陥が画像上で安定して現れる条件を確認しましょう。
SWIR領域では、物質ごとの吸収特性の違いが画像コントラストとして現れることがあります。そのため、表面の色では判別しにくい材質差や、含水状態の違いを確認したい検査にも向いています。
外観検査では、単に明るく照らすだけでなく、対象物がどの波長に反応するかを利用します。光源の波長を検査対象に合わせて選ぶことで、画像処理で判定しやすい画像を得やすくなります。
SWIR LED光源は、対象物を切断したり分解したりせずに内部や裏面の情報を得たい場合に役立ちます。工程内検査や全数検査では、ワークを傷つけずに確認できることが大きな利点です。
一方で、すべての内部欠陥が見えるわけではありません。欠陥の位置、サイズ、周囲との光学差が小さい場合は検出が難しいため、カメラ・レンズ・照明条件を含めた検証が欠かせません。
シリコンウエハーは可視光では透過しにくく、表面側から裏面パターンを確認することが難しい場合があります。ユーテクノロジーの事例では、SWIR領域の光を用いることでウエハーを透過し、裏面側のパターンを画像として確認しています。
貼り合わせやアライメントの工程では、表面から見えない位置関係を把握できることが重要です。SWIR LED光源を活用することで、ワークを破壊せずに内部・裏面情報を取得し、位置合わせやパターン確認の精度向上に役立てられます。
SWIR LED光源は、波長によって対象物の見え方が大きく変わります。シリコン、樹脂、水分、コーティングなど、何を見たいのかを先に定義し、その目的に合う波長を絞り込みます。
カタログ上の代表波長だけで判断せず、実際のワークで撮像比較を行うことが大切です。最も明るい波長ではなく、最も判定しやすい画像が得られる波長を選びましょう。
SWIRで透過検査を行う場合、対象物の厚みや吸収が大きいほど、必要な光量は増えます。光量が不足すると、露光時間が長くなったり、ノイズが増えたりして、検査速度や判定精度に影響します。
出力だけでなく、照射距離、照射範囲、均一性、発熱、連続点灯時の安定性も確認しましょう。必要な検査速度で十分なS/Nを確保できるかが選定の基準になります。
SWIR LED光源を使うには、光源だけでなくカメラとレンズもSWIR領域に対応している必要があります。一般的な可視光用カメラではSWIRを十分に撮像できないため、センサー感度の確認が必要です。
レンズについても、対象波長での透過率やピントずれ、コーティングの影響を確認します。光源単体ではなく撮像系全体で成立するかを見ることが重要です。
SWIR LED光源は、面照射、スポット照射、ライン照射、透過照明など、検査対象に合わせた照射方式を選びます。狭い場所や装置内部へ導光したい場合は、光ファイバーとの組み合わせも候補になります。
照射方式が合わないと、欠陥よりもムラや反射が強調されることがあります。欠陥の位置と見たい方向に合わせて光を入れることが、安定した検査画像につながります。
「SWIR LED光源」と検索して上位10位以内に表示された公式サイトのうち、検査に使用できるLED光源を紹介します。(2026年6月12日調査時点)
1060〜1550nmのSWIR帯域をラインアップした光ファイバ用LED光源です。光ファイバーを活用した独自のフィードバック機能により、経時変化や温度変化に対応しながら一定発光を目指せる点が特徴です。
CIRシリーズは、近赤外からSWIR領域の撮像に対応する照明シリーズです。可視光では捉えにくい内部情報や材質差を確認したい検査で、カメラ・レンズ・照明を組み合わせた条件検討に活用しやすい製品です。
アルゴは、MBJ Imagingの産業用LED照明としてSWIR光源を紹介しています。SWIRカメラと組み合わせることで、可視光では確認しにくい対象の透過・吸収差を利用した検査条件づくりに活用できます。
SWIR波長域を活用した研究開発・検査向けのカスタム照明です。パッケージ表面の傷、シリコンウエハの透過、樹脂パッケージ内部の確認など、対象に合わせた波長・光量・照射範囲の設計を相談できます。
1650nmのSWIR領域に対応したバックライトです。均一な背面照明が必要な透過検査や、対象物の材質差・内部状態をSWIRカメラで確認したい用途に適しています。
検査工程では、用途に応じて必要な明るさで対象を照らすことが求められます。
しかし目的によって必要な光の条件が異なり、装置の選定に迷うケースも少なくありません。
こうした現場での課題に応えるため、検査目的別に適したLED光源装置をおすすめ3選を紹介します。